「奉請」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:32時点における最新版
ぶじょう/奉請
法要の序分(導入部)で仏・菩薩を道場へ請い奉り唱える文。阿弥陀仏・釈尊・十方の諸仏および諸菩薩を尊崇敬虔の念をもって請じ、慈悲を仰ぎ、供養する。「香偈」「三宝礼」の次に唱え、長跪して中品礼をする。「無言三拝」の次に唱えることもある。奉請には「三奉請」「四奉請」と「奉請文」がある。「三奉請」は善導の『法事讃』により、まず弥陀・釈尊・十方如来の順で請じ、呉音で唱える。「四奉請」は法照の『五会法事讃』により、十方如来・釈尊・弥陀・観音勢至諸大菩薩の順で請じ、漢音で唱える。四仏勧請とも称した。「奉請文」は仏菩薩諸天善神列祖などの特定の尊位を請じるときに用いる。「半斎供養式」では、「奉請」を唱えない場合に、「一心奉請 阿弥陀仏等 一切三宝 願入道場 受我供養」と三唱して三唱目で中品礼をする。また、釈尊三大会と二祖三代にはそれぞれの「奉請文」がある。二祖三代の法会は、「三奉請」または「四奉請」であったが、『法要集』(平成二年版)より釈尊三大会と同様に「奉請文」に変更した。御忌会と宗祖降誕会は「一心奉請 宗祖円光東漸慧成弘覚慈教明照和順法爾大師 願入道場 受我供養」と唱える。盂蘭盆会の「奉請六位」は、釈尊・修多羅・菩薩・縁覚・声聞・目連の六位を道場へ請じている。放生会は「一心奉請 南無十方法界三宝」をはじめ三宝諸天を七請している。『法事讃』ではまず「奉請四天王」の文を唱える。また道場洒水・四方洒水のときにもこの文を唱える。「羅漢講式」は「四奉請」などを唱えてから、「一心奉請 第一賓度羅跋羅堕闍尊者 不捨慈悲入道場」をはじめ十六羅漢と諸の眷属を勧請している。「浄土曼荼羅供礼誦儀則」は奉請四天王の文を唱え、「一心奉請 十方法界 常住三宝 唯願降臨道場 受我供養」と五智身阿弥陀仏などを五請している(『声明並特殊法要集』増上寺、一九四一)。増上寺御忌会では「三奉請」に「奉請法然上人入道場」と法然を加唱している。また施餓鬼会では施食会の「奉請文」である「一心奉請 十方法界 常住仏宝 唯願降臨道場 受我供養」などを六請している。「阿弥陀懺法」では「先請伽陀」を唱え、落慶式でも「先請伽陀」を唱える。『法要集』(明治四三年版)の通常法要式では「四奉請」を唱えていた。しかし、『法要集』(大正一三年版)では、仏は常住ということから奉請と「送仏偈」を唱えないとしたが、『法要集』(昭和一四年版)では奉請・「送仏偈」を唱えるようになり、『法要集』(平成二年版)に至って、釈尊三大法要の「奉請文」に倣い、二祖三代の法要は特定の一師を奉請することになった。『浄土宗法要儀式大観』一には、このとき志す所の霊儀と共に諸尊が来臨するとある(一一五、名著普及会、一九八七)。
【執筆者:西城宗隆】