如来
提供: 新纂浄土宗大辞典
にょらい/如来
過去の諸仏の如くに来る者、すなわち仏のこと。ⓈⓅtathāgataⓉde bzin gshegs pa。如去、あるいは仏や世尊と訳され、多陀阿伽度などと音写される。如来は、インドの諸宗教ですぐれた宗教者に対する呼び名であり、仏教では阿含経典から用いられ、仏や世尊と同様に覚者を意味する。例えば阿弥陀仏を阿弥陀如来といい、釈迦牟尼仏を釈迦牟尼如来というように、如来と仏とは同義である。このような同義語には十種があり、これを如来の十号、あるいは単に十号という。如来の語義には、過去の諸仏の如くに覚りを開いた者、真如より来た者、真如に至った者などの説明があり、経論によって様々に説示されている。また『金剛般若経』には「如来は従来する所なく、また去る所なきがゆえに如来と名づく」(正蔵八・七五二中)とあり、空の観点から如来を説明する。『中論』観如来品などもこの視点と同様に、確定した本性を持つ如来の概念を否定している。
【資料】『出曜経』二〇、『成実論』十号品
【参照項目】➡十号
【執筆者:石田一裕】