むに/牟尼
賢者、聖人、修行者を意味する。仏の異名ともされる。ⓈⓅmuniの音写語。唐の義浄訳『根本説一切有部毘奈耶雑事』二〇には「太子入城するや皆悉く黙然牟尼として語なかりき。まさに太子に名を与へ、釈迦牟尼と曰く」(正蔵二四・二九八中)、また宋の志磐撰『仏祖統紀』三四には「牟尼、此れ寂黙と云ふ。仏の別名なり」(正蔵四九・三二五中)とあるごとく、特に「沈黙を守る聖者、仏」と語源解釈される。ちなみに「釈尊」とは「釈迦牟尼世尊」の中間省略表現。意味は「釈迦族出身の沈黙を守る聖者、世にも尊い人(仏)」。
【参照項目】➡釈尊、釈迦牟尼如来
【執筆者:中御門敬教】