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奉請

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぶじょう/奉請

法要序分(導入部)で仏・菩薩道場へ請い奉り唱える文。阿弥陀仏釈尊十方の諸仏および諸菩薩を尊崇敬虔の念をもって請じ、慈悲を仰ぎ、供養する。「香偈」「三宝礼」の次に唱え、長跪して中品礼をする。「無言三拝」の次に唱えることもある。奉請には「三奉請」「四奉請」と「奉請文」がある。「三奉請」は善導の『法事讃』により、まず弥陀釈尊十方如来の順で請じ、呉音で唱える。「四奉請」は法照の『五会法事讃』により、十方如来釈尊弥陀・観音勢至諸大菩薩の順で請じ、漢音で唱える。四仏勧請かんじょうとも称した。「奉請文」は仏菩薩諸天善神列祖などの特定の尊位を請じるときに用いる。「半斎供養式」では、「奉請」を唱えない場合に、「一心奉請いっしんぶじょう 阿弥陀仏あみだぶっとう 一切三宝いっさいさんぼう 入道がんにゅうどうじょう 受我供養じゅがくよう」と三唱して三唱目で中品礼をする。また、釈尊大会二祖三代にはそれぞれの「奉請文」がある。二祖三代法会は、「三奉請」または「四奉請」であったが、『法要集』(平成二年版)より釈尊大会と同様に「奉請文」に変更した。御忌会宗祖降誕会は「一心奉請 宗祖円光東漸慧成弘覚慈教明照和順法爾大師しゅうそえんこうとうぜんえじょうこうかくじきょうめいしょうわじゅんほうにだいし 願入道場 受我供養」と唱える。盂蘭盆会の「奉請六位」は、釈尊修多羅菩薩縁覚声聞目連の六位を道場へ請じている。放生会は「一心奉請 南無十方法界三宝なむじっぽうほうかいさんぼう」をはじめ三宝諸天を七請している。『法事讃』ではまず「奉請四天王」の文を唱える。また道場洒水四方洒水のときにもこの文を唱える。「羅漢講式」は「四奉請」などを唱えてから、「一心奉請 第一賓度羅跋羅堕闍びんどらはらだしゃ尊者 不捨慈悲入道場」をはじめ十六羅漢と諸の眷属勧請している。「浄土曼荼羅供礼誦儀則」は奉請四天王の文を唱え、「一心奉請 十方法界じっぽうほうかい 常住三宝じょうじゅうさんぽう 唯願降臨道場ゆいがんこうりんどうじょう 受我供養」と五智阿弥陀仏などを五請している(『声明並特殊法要集増上寺、一九四一)。増上寺御忌会では「三奉請」に「奉請法然上人入道場」と法然を加唱している。また施餓鬼会では施食会の「奉請文」である「一心奉請 十方法界 常住仏宝じょうじゅうぶっぽう 唯願降臨道場 受我供養」などを六請している。「阿弥陀懺法せんぼう」では「先請伽陀」を唱え、落慶式でも「先請伽陀」を唱える。『法要集』(明治四三年版)の通常法要式では「四奉請」を唱えていた。しかし、『法要集』(大正一三年版)では、仏は常住ということから奉請と「送仏偈」を唱えないとしたが、『法要集』(昭和一四年版)では奉請・「送仏偈」を唱えるようになり、『法要集』(平成二年版)に至って、釈尊三大法要の「奉請文」にならい、二祖三代法要は特定の一師を奉請することになった。『浄土宗法要儀式大観』一には、このとき志す所の霊儀と共に諸尊が来臨するとある(一一五、名著普及会、一九八七)。


【参照項目】➡三奉請四奉請奉請六位奉請四天王文


【執筆者:西城宗隆】