六道講式
提供: 新纂浄土宗大辞典
ろくどうこうしき/六道講式
一
一巻。源信著。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六道の様相を記したもの。次第に沿って六道輪廻を観察することを目的とする。法要の「六道講式」とは異なる。
【執筆者:編集部】
二
六道の衆生のために回向する法会。源信の『六道講式』とは異なる構成。源信『六道講式』(二十五三昧式)の式文・伽陀・礼文という次第をとらずに、『阿弥陀経』の訓読、六方諸仏と阿弥陀仏への礼拝、「中夜礼讃」の礼讃行道、回向文からなる。『阿弥陀経』の序分は木魚を用いず低声で音読し、正宗分から訓読する。六方段では維那が六方の仏名を一唱一礼し、大衆は弥陀宝号を一唱一礼する。五念門に相当する「中夜礼讃」を唱え、左右の大衆が各々別の道をとって対座のところに行くという特殊な行道をする。六方段を六道に配してそれぞれ回向して浄土往生を念じる。流通分は訓読し、経文中の釈迦如来を三唱三礼(釈尊宝号・弥陀宝号)して、最終一行を低声で音読する。和歌山大乗寺堀練雄は、昭和四年(一九二九)一月に古版本をもとに、十二礼文を中夜礼讃などにして『六道講式』を刊行した。浄土宗法式協会は、同四年版の三念仏(源信の三句念仏)から同唱十念、三尊礼の節から中夜礼讃の節にするなどの改訂をして、同一七年に『六道講式』を刊行した。東京講安寺池田立基は歌舞伎俳優の早変わりを取り入れて、六道のそれぞれに衣体を裏堂ですばやく着替える法会にした。同四六年一二月に増上寺式師会、平成二一年(二〇〇九)二月に浄土宗総合研究所はともに安国殿で六道講式を修した。これとは別本として、宍戸栄雄は昭和四五年(一九七〇)に『三途講式』を刊行した。
【資料】『六道講式』(浄土宗総合研究所、二〇〇九)、『三途講式』(真教寺、一九七〇)
【参照項目】➡二十五三昧式
【執筆者:西城宗隆】