「密室道場」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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みっしつどうじょう/密室道場
浄土宗における五重相伝の正伝法である安心相承を受ける道場のことで、西方浄土に往生する人の姿を具現的に表したもの。すなわち往生した極楽の様相として散華を撒いた大坐具に座すことで、蓮の台に生まれた姿、すなわち往生浄土を表現している。要偈道場で究竟大乗の浄土門に入信し、本願念仏による救済を明瞭にしたが、この道場は五重の真意を伝えるものである。
[荘厳]
本尊が内陣奥にあり動かせない場合は、伝法仏を別壇に安置し、香炉、火立、花立、紅白餅一重、供物一対、および長散杖を用意する。本尊前の荘厳も同様とする。伝法仏の脇に伝灯師席を用意し、机上に説相箱、袱紗、伝書、伝巻見本、授者代表伝巻、洒水器、槌砧、柄香炉または置香炉、香盒を置く。別に維那座を設け、大鏧、木魚、戒尺を置く。道場には大坐具を敷き、関係者一同が座れるようにする。
[伝法仏]
伝法仏について、『吉水瀉瓶訣』四によると、「五重は必ず座像を用ゆ。自証往生の故に。宗脈は必ず立像を用ゆ。化他度生の故に」(『伝灯輯要』八八九)とある。しかし当該寺院に伝法仏がある場合は、立像・座像にかかわらず奉安した方がよい。ない場合は、本尊仏を遷座奉安する。遷座できないときは、山越弥陀の掛軸を用いてもよい。
[作法と進行]
入堂—受者入堂、伝灯師入堂。堂内諸役は後堂に控え、伝灯師の入堂後に諸座につく。伝灯師は本尊と伝法仏が異なって奉安してあるときは、まず本尊前に三礼した後、次に伝法仏に三礼する。伝灯師は登高座の後、おもむろに洒水作法をする。受者は香水、香湯、塗香、触香、灌頂の作法後、入堂着座する。
発起焼香—教授師は、受者代表の焼香を発声する。受者の代表としての思いを込めて焼香する。
授与十念—教授師のお十念の発声に従い、伝灯師は十念を切十念により授ける。
受者一拝—三唱一礼する。
血脈授与—摂心念仏中に受者の名前が呼ばれ、受者は伝灯師前に進み授手作法を受け、血脈を授与される。受者は血脈を両手で頂き、自席に戻る。
受者一拝 摂益文 念仏一会 この間に伝灯師は本尊前に転座する。
成満—通常の荘厳に復す。
【参考】福西賢兆監修『図説五重相伝・授戒会』(斎々坊、一九九五)
【執筆者:福西賢兆】