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供物

提供: 新纂浄土宗大辞典

くもつ/供物

儀礼の場面において、供犠行為を達成するために、神・仏・霊などに対して捧げられるもののことをいう。供物には、飲食物が一般的であるが、華・香・灯火などの祭具類も供物の一種と考えられる。また、人間や動物なども供物の対象となる場合がある。供物を捧げる行為には、積極的な側面(感謝を表したり、親睦と和解を願うなど)と、消極的な側面(恐れや祟りを鎮めるなど)がある。どちらも、神・仏・霊などと人間の関係がより良好になることが期待されている。日本における一例として、年中行事などで神と人間が同じ物(収穫物)を食べる神人共食がある。


【参考】小口偉一・堀一郎『宗教学辞典』(東京大学出版会、一九七三)、柳田国男『日本の祭』(『柳田国男全集』一三、ちくま文庫、一九九〇)


【執筆者:齋藤知明】


仏または霊前に供える品物。お供物ともいう。三宝供養に用いるものには、四事供養衣服えぶく飲食おんじき・臥具・湯薬)と、十種供養(華・香・瓔珞抹香塗香ずこう焼香繒蓋幢そうがいどう・衣服・伎楽・合掌)があるが、一般的には生菓子・水菓子などの「お盛物もりもの」をいう。仏前には、餅、膳、生菓子、干菓子、水菓子、乾物、野菜などを供えることがある。精進供しょうじんくは、野菜などを調理しないで生のまま形よく三方などに盛って供えることをいう。生菓子と水菓子の一対を供えるときは向かって右側に生菓子を供え、紅白の饅頭のときには向かって右側に色の濃い紅の饅頭を供えている。仏前には精進物を供えて、ねぎ大蒜にんにくにらなどは供えないものとされている。


【参照項目】➡四事供養十種供養精進供


【執筆者:中山信隆】