結縁授戒
提供: 新纂浄土宗大辞典
けちえんじゅかい/結縁授戒
仏道に縁を結ばせるために、一般檀信徒に対して戒法を授け、戒を持つことを誓わせる儀式のこと。単に授戒、あるいは説戒、戒さばきともいう。また、授けられる側よりは受戒という。一般的には五戒・八斎戒・十戒・具足戒・円頓戒の戒法を授与することを授戒というが、浄土宗においては法然より代々伝えられた大乗菩薩戒、すなわち円頓戒を授けることをいう。古くは五重相伝を受けた僧侶にして碩学のみに授けていたが、江戸時代中期頃より、一般在家にも授けられるようになった。明治以降、能化同様七日間行われ、前の六日間を前行とし、その期間は正授戒のための心構えを養うため、勧誡師が十二門戒儀に従って講説し、前後に勤行、礼拝を行う。七日目の正授戒は正しく伝戒師より戒法を授ける。差定は、法鼓・調読・受者入堂・道場洒水・道場散華・喚鐘・露地偈・伝戒師入道・右繞三匝・伝戒師脇師入堂・香偈・三宝礼・四奉請・歎仏偈・表白・伝戒師転座・発起焼香・受者三拝・授与十念・受者一拝・請師・戒序披読・正授戒・日課誓約・授与戒牒・摂益文・念仏一会・伝戒師転座・総回向偈・十念・総願偈・三唱礼・送仏偈・十念・授与十念・伝戒師脇師退堂・受者退堂である。正授戒の作法は『新本戒儀』あるいは『黒谷古本戒儀』によっている。近時は多く期間を五日間、あるいは三日間に短縮して開かれている。
【参考】浄土宗布教伝道史編纂委員会編『浄土宗布教伝道史』(浄土宗、一九九三)、恵谷隆戒『円頓戒概論』(大東出版社、一九七八)
【執筆者:日下部謙旨】