右繞
提供: 新纂浄土宗大辞典
うにょう/右繞
本尊を安置した須弥壇または堂塔の周囲を右回りする礼法。これを三回行うのを右繞三匝という。Ⓢpradakṣiṇī-kṛなどの訳。右遶とも書き、右旋とも旋繞ともいう。インドの礼法の一つで、尊崇の念を表す対象(人・聖火)に右肩を向けてその周囲を右回り(時計回り)に回る礼。この礼法が仏教にも取り入れられて右繞三匝となった。『無量寿経』上には、「仏足を稽首し、右に繞ること三帀す」(聖典一・一八/浄全一・五)とあり、浄土宗ではすべて右繞の礼法を行う。『法要集』は、灌仏会の花御堂、正伝法前伝(要偈道場)の本尊、正授戒の授戒本尊、落慶式(堂内式)の本尊等に右繞三匝する(繞堂・繞仏)としている。この他、行道(礼讃・誦経・笏念仏・散華・献華)、撞初式の誦経中の周匝などはすべて右繞であり、入退堂は堂宇の建築構造上を除き右繞の作法による。また、葬送習俗の中にもこの三匝の作法が見られる(『葬送習俗語彙』一二四、国書刊行会、一九七五)。
【執筆者:西城宗隆】