散華行道
提供: 新纂浄土宗大辞典
さんかぎょうどう/散華行道
散華しながら行道すること。式衆が列をなして六時礼讃(日没礼讃を除く)などを唱えながら、本尊を右回りに巡り、所定のところで華を撒く作法をいう。自席より裏堂(後堂)を右繞するが、裏堂のない場合は須弥壇または前机の前を回る。日没礼讃以外の礼讃は、礼拝・散華・行道・散華行道のいずれかを行う。礼拝と散華は自席で行い、行道と散華行道は本尊を右繞する。「三尊礼」の場合は、まず華籠を持って起立し「南無至心帰命礼 西方阿弥陀仏」の「西」で華を採ってから、おもむろにいただき、「阿」で華を散して低頭する。句頭(「弥陀身色」)の後に「如金山」の「如」の同音より順次行道を始める。「往生安楽国」の「国」で本尊(内側)に振り向く。同様に「西方阿弥陀仏」で散華・低頭し、同音「大慈悲」の「大」より一斉に行道を始める。行道のときには、如(左足)金(右足)山(左足)というように、礼讃の文と足の踏み出しを規定している作法もある。「三尊礼」の散華行道のときは、本堂(内陣)の広さと大衆の出仕数によって、先進が何匝できるか、または一匝のときに二匝あるいは三匝するかを予め判断する。『法事讃』の行道讃梵の偈では、三奉請散華した後に、「道場荘厳極清浄」以下を維那独唱するなかで、大衆が散華行道を行う(浄全四・八上/正蔵四七・四二七下)。また同書に、「散華行道訖 願往生」(浄全四・三〇下/正蔵四七・四三七中)とある。
【執筆者:西城宗隆】