「根本陀羅尼」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
Seishimaru (トーク | 投稿記録) 細 (1版 をインポートしました) |
|
(相違点なし)
|
2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版
こんぽんだらに/根本陀羅尼
三宝と無量光如来(阿弥陀仏)に帰依し、無量光如来への讃歎を何通りにも称揚するなか、煩悩の滅尽を願う意を込めた陀羅尼。施餓鬼会や葬送儀礼において用いる。「ノーボーアラタンノータラヤーヤーノーマクアリヤーミタバヤータタギャタヤーアラカテイサンミャクサンボダヤータニヤターオンアミリテイアミリトードバベイアミリターサンバベイアミリターキャラベイアミリターシッテイアミリターテイゼイアミリタービギャランテイアミリタービギャランターギャミネイアミリターギャギャノーキチキャレイアミリタードンドビソバレイサラバーアラターサダネイサラバーキャラマーキレイシャキシャヨーキャレイソワカー」と誦す。阿弥陀如来根本陀羅尼、阿弥陀如来根本大呪、十甘露呪などともいう。今日、日本仏教各派において流布しているものは不空訳『無量寿如来観行供養儀軌』に示される無量寿如来根本陀羅尼(正蔵一九・七一中)に典拠が求められ、それによれば、この陀羅尼をわずか一遍でも誦すれば、十悪・四波羅夷・五無間罪といった重罪が滅し、あらゆる業障が消滅するという。さらに比丘・比丘尼といった出家修行者が四波羅夷を犯しても、これを七遍誦すれば律義に違わない清浄な状態に回復し、また一万遍を誦すれば菩提心を忘れることのない三摩地を獲得して、あたかもそれが清らかな月の如く身中に顕現すると説かれる。さらに臨終の時には無量寿如来と無数の菩薩が来迎するのを見て、身心が安らぎ極楽に上品上生して菩薩位を証得すると説かれている。近似する陀羅尼に法賢訳『無量功徳陀羅尼経』(正蔵一九・八〇中)に示される無量功徳陀羅尼や、失訳『阿弥陀仏説呪』(正蔵一二・三五二上~中)のものや、『法苑珠林』六〇に示される阿弥陀呪(正蔵五三・七三五下)、あるいは求那跋陀羅訳『抜一切業障根本得生浄土神呪』のもの(正蔵一二・三五一下)、さらに実叉難陀訳『甘露陀羅尼呪』のもの(正蔵二一・四六八下)がある。これらは何らかの祖型から伝搬展開したと目され、また阿弥陀仏に対する陀羅尼呪は必ずしも密教独自の伝承ではなく浄土教経典に付随して保持された形跡があるとみられている。
【資料】『浄土宗法要集』上
【参考】田久保周誉『真言陀羅尼蔵の解説』(真言宗豊山派宗務所、一九六〇)、中御門敬教「阿弥陀仏儀軌書における往生観の受容と統合—『無量寿如来観行供養儀軌』を事例として—」(『仏教文化研究』五二、二〇〇八)
【参照項目】➡十甘露呪
【執筆者:袖山榮輝】