開眼式
提供: 新纂浄土宗大辞典
かいげんしき/開眼式
仏像などを開眼する法要。仏壇の本尊・両大師などをはじめ、位牌を奉安するときなどに開眼作法を行う法要をいう。寺院に新しく本尊を奉安するときは「入仏式」といい、修補したときは「遷座式」という。わが国では天平勝宝四年(七五二)に、東大寺大仏の開眼供養を行ったのが最初であり、婆羅門僧正菩提僊那を開眼師として行われた。『四十八巻伝』には、引摂寺の供養が記されている。「別に御啓白無し。ただ念仏千遍を唱え給い、やがて不断念仏を始行せられ」(聖典六・一四七)とあり、法然は称念開眼をした。開眼式には、荘厳服を被着し、仏像を壇上に安置し、供物等を供える。菩薩・位牌などの場合も同様としている。開眼作法は洒水作法の儀規に順じて行われる。洒水作法は師伝であるが現今は伝宗伝戒道場の時に教誡師から伝授される。洒水法に従い所定の作法が終了した後、散杖の先端を浄水につけ、順三を行い、対象の仏・菩薩には三度点晴する。位牌、人像などでは、一度点晴し、逆一を行って開眼を終了し、水器香器の蓋を閉ざす。「開眼式表白」には、如来の真実身を想うことは凡夫の我等には困難であるから、形像を造り、画像に託して、真の仏身に会通するのであるといい、古来から彫刻や影画を作るのはその趣向に基づくものである。長くこの寺にあって感応道交して法性を覚らしめ給えと願っている。
【執筆者:福西賢兆】