感応道交
提供: 新纂浄土宗大辞典
かんのうどうこう/感応道交
衆生に機縁があれば仏の力がおのずから応じ、衆生の感と仏の応とが互いに交じり合うこと。さらに、師と弟子とが相投合することもいう。阿弥陀仏の慈悲の心はつねに躍動し、衆生の願心の起こるところの時間と空間の隔たりを超えてかならず相応じ、仏・凡ともに交じり合うのである。善導は『観経疏』定善義で、念仏するものについて親縁・近縁・増上縁の三縁をあげて説いている。法然は『選択集』一六で「念仏の行者、水月を感じて昇降を得たり」(聖典三・一九〇)と語る。月は天上にあって高く、水は地上にあって低くとも静かであれば、その距離は遥か遠くても、天上の月は如実さながらに影を水辺に映すと言って、口称念仏行によってもたらされる感応道交の心的様相を明らかにしている。
【資料】『法華玄義』六、『修証義』、『円頓戒要義』一一八
【執筆者:藤本淨彦】