にじゅうにせんちゃく／二十二選択

聖光が『徹選択集』で論じる二二種類の選択のこと。法然の『選択集』一六には八種選択の義が説かれているが、「今、この外にまた二十二種の選択の義を加う」（聖典三・二七九／浄全七・九二下）として、聖光はさらに広く諸文から二二種類を紹介し論じる。すなわち、①選択一向の義。『無量寿経』三輩往生において念仏を選取して一向の義を置くこと。②選択悪業待対の義。『観経』下品三生において弥陀浄土のみ罪障重き者を選取すること。③選択大善の義。『阿弥陀経』において大善根福徳の因縁を選取すること。④選択一行の義。『文殊般若経』において名号を選取すること。⑤普賢菩薩選択臨終の義。『華厳経』において普賢菩薩が臨終のときに極楽浄土を選取すること。⑥文殊菩薩選択臨終の義。『文殊発願経』において文殊菩薩が臨終のときに極楽浄土を選取すること。⑦観音菩薩選択本師の義。『千手経』において観音菩薩は阿弥陀仏を選取すること。⑧勢至菩薩選択因行の義。『大仏頂経』において勢至菩薩の本願は念仏を選取して極楽に往生すること。⑨選択易行道の義。龍樹の『十住毘婆沙論』において易行道を選取すること。⑩選択名義讃歎の義。世親の『往生論』において本願とする名義を選取して讃歎すること。⑪選択得度念仏の義。廬山慧遠が念仏を選取して得度の要法としたこと。⑫選択長生念仏の義。曇鸞が念仏を選取して往生の望みを遂げたこと。⑬天台大師選択改悔念仏の義。智顗が改悔の法である念仏を選取したこと。⑭道綽禅師選択念仏の義。道綽が末法のときに念仏を選取したこと。⑮善導和尚選択本願念仏の義。善導が末法の衆生のために本願の念仏を選取したこと。⑯懐感禅師選択見仏念仏の義。懐感が善導に帰して念仏を選取したこと。⑰少康法師選択興隆念仏の義。少康が末法のときに念仏を選取して興隆したこと。⑱法照禅師選択末法念仏の義。法照が念仏を選取して末法得度の要法と教えたこと。⑲慧日三蔵選択念仏の義。慧日三蔵が偏に念仏を興し念仏を選取したこと。⑳大智律師選択病中念仏の義。大智律師が病中に発願して念仏の一行を選取したこと。㉑慧心先徳選択念仏往生の義。源信が経論の要文を集め念仏を選取したこと。㉒法然上人選択本願念仏の義。法然が善導の本願念仏の義のうえに選択の義を加えたこと。以上の二二種の選択の義である。

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【資料】『徹選択鈔』、『徹選択本末口伝鈔』

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【参照項目】➡八種選択

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【執筆者：藤本淨彦】