三輩
提供: 新纂浄土宗大辞典
さんぱい/三輩
『無量寿経』下巻に説かれる、浄土往生を願う者に上中下三種類の機根(能力・資質)の別があること。上輩とは、出家して菩提心を発し、一向に専ら無量寿仏を念じて諸々の功徳を修して往生を願う人。中輩とは、出家はしないが、菩提心を発し、一向に専ら無量寿仏を念じ、斎戒を奉持し、塔像を建立し、出家に食を施し、香華灯燭を供え、往生を願う人。下輩とは、出家もせず戒も守らないが、菩提心を発して、一向に意を専らにして、十念無量寿仏を念じて、往生を願う人である。いずれの人も「一向に無量寿仏を念ずる」ことから、法然は機根に上中下の相違はあっても、三輩はすべて念仏往生を明かしているとする。そして、『観経』の九品とこの三輩は開合の異であるとし、念仏は九品に通じるとしている。また法然は、三輩を第十九来迎引接の願成就の文であるとしている。その言葉のとおり、上輩に真仏の来迎、中輩に化仏の来迎、下輩に夢中の来迎という三種の来迎の様相が説かれている。
【資料】『選択集』四(聖典三・一二三/昭法全三二二)
【執筆者:吉水岳彦】