「加持」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
Seishimaru (トーク | 投稿記録) 細 (1版 をインポートしました) |
|
(相違点なし)
|
2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
かじ/加持
一
側に立つこと、または住処の意味があり、転じて加護の義が用いられた。Ⓢadhiṣṭhānaの訳で所持、護念などともいわれる。空海『即身成仏義』には「加持とは如来の大悲と衆生の信心とを表す。仏日の影、衆生の心水に現ずるを加といい、行者の心水、能く仏日を感ずるを持と名づく」(正蔵七七・三八三中)とある。仏の大悲大智が衆生の機に加わるのを「加」、衆生がこれを受持するのを「持」といい、仏と衆生とが感応道交することを加持という。
【執筆者:廣本榮康】
二
供物・香水などを浄める作法。空海『即身成仏義』に「若し真言行人あって此の義を観察し、手に印契を作し、口に真言を誦し、心三摩地に住し三密相応にして加持するが故に早く大悉地を得」(正蔵七七・三八三上)とある。密教では修法上の作法として手に印を結び、口に真言をとなえ、心を三摩地に住すことにより妙果が得られるとされる。浄土宗における印を用いての加持は、半斎供養式の浄箸作法と洒水法における散杖の加持がある。これは小三鈷の印を結び、甘露葷荼利呪をもって行う加持である。また印を用いない加持としては、洒水法において香と浄水を和合させ遍浄の二徳を具足させる[悉曇:vaṃ][悉曇:raṃ]加持があり、半斎供養式の献供呪、棚経・施餓鬼会の変食陀羅尼は加持供物にあたる。
【執筆者:廣本榮康】