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献供呪

提供: 新纂浄土宗大辞典

けんくじゅ/献供呪

半斎供養式に誦する陀羅尼。仏前に霊膳を供え、導師浄箸作法を行っている間に誦する。「ノーマク サラバー タタギャター バローキテイ オン サンバラ サンバラ ウン」と誦す。「変食陀羅尼」に同じであり、「献供呪」と称されるのは半斎供養式盂蘭盆会においてである。「オン」や「ウン」は真言陀羅尼において象徴的に多用されるいわば聖なる語で、もとより訳語を充てにくい。「帰命し奉る(ノーマク)。一切如来(サラバー タタギャター)の各々、ならびに観世音よ(アバローキテイ)、お送り下さい、お送り下さい(サンバラ サンバラ)」といった大意になる。このうち「サンバラ」については他に、用意する、与える、養う、育むなどの意がある。この「献供呪」からは、仏前に供えた飲食などの霊膳如来観世音菩薩の働きにより、広く他者への施しとなってもたらされますようにといった、供える側の祈りを読み取ることができる。


【参考】福西賢兆『図説浄土宗の法式』第三巻法要篇Ⅱ(斎々坊、一九九二)


【参照項目】➡変食陀羅尼


【執筆者:袖山榮輝】