経巻相承
提供: 新纂浄土宗大辞典
きょうかんそうじょう/経巻相承
馬鳴から法然まで、祖師が典籍を通して浄土教義を伝承相伝したこと。浄土宗の祖師による経巻相承(八祖相承)と知識相承(六祖相承)の二系譜のうちの一つ。八祖相承、超越相承、依用相承ともいう。聖冏の『浄土真宗付法伝』(続浄一七・三〇四下)に八祖相承として、馬鳴(『起信論』)、龍樹(『十二礼』『十住毘婆沙論』)、天親(『往生論』)、菩提流支(『観経』伝授)、曇鸞(『論註』)、道綽(『安楽集』)、善導(五部九巻)、源空(『選択集』『三部経釈』)へと次第するインド・中国・日本の三国にわたる相承を明かし、これを経巻相承と名づけている。『浄土真宗付法伝』末(続浄一七・三〇七上)には七祖相承が挙げられており、これは八祖相承から菩提流支あるいは天親を除いたものである。また、聖聡は『二蔵綱維義』の中で、相承には次第相承・超越相承、あるいは直受相承・経巻相承があり、「是れ面受に非ずと雖も、経論の文に依りて其の義を立つ…此れ経巻相承なり、亦た超越相承なり」(浄全一二・五七二下)といい、経巻相承を超越相承とも称している。
【資料】『浄土真宗付法伝』(続浄一七)
【執筆者:工藤量導】