馬鳴
提供: 新纂浄土宗大辞典
めみょう/馬鳴
二世紀頃、生没年不明。ⓈAśvaghoṣa。阿湿縛窶沙、阿湿矩沙などと音写される。サンスクリット文学の大詩人。『仏所行讃』(ブッダチャリタ)や『サウンダラナンダ』の著者として知られる。『婆沙論』編纂に携わった脇尊者の弟子とされ、またカニシカ王との交流が指摘されることから、二世紀頃の人とするのが有力な説である。ただし仏典によって馬鳴の生存年代は一致せず、厳密な年代の確定は難しい。『起信論』の著者も馬鳴とされているが、同一名の人物が複数いたことが予想され、『仏所行讃』を著した馬鳴とは別人と考えるのが一般的である。さらに『サウンダラナンダ』は経量部的傾向が指摘されており、馬鳴と経量部には関係があったと考えられる。
【資料】『大唐西域記』八、『馬鳴菩薩伝』
【参考】本庄良文「馬鳴詩のなかの経量部説」(印仏研究三六—一、一九八七)
【参照項目】➡大乗起信論
【執筆者:石田一裕】