講式
提供: 新纂浄土宗大辞典
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こうしき/講式
講式文の訓読を主要とした法会。講式文は単に講式または式ともいい、仏・菩薩・列祖などの徳行などを漢文読み下し体にした讃文をいう。講式の章段構造は、「式三段・伽陀三段・礼文三称」からなり、式三段のほか式五段などもある。まず総礼伽陀の声明を唱え、表白を奉読して開催趣旨を明らかにし、各段ごとに聖徳を讃歎する講式文を語るように唱え、その式文を要約した伽陀を唱え、さらに礼文を唱えて礼拝することを数回繰り返す。講式の内容・次第をまとめたものに源信の『二十五三昧式(六道講式)』、永観の『往生講式』、後鳥羽上皇の『無常講式』、明恵の『四座講式』など多くのものがある。『知恩講私記』は「私記」と表題しているが、知恩講のときに法然の五徳を説き明かした講式である。真源の『順次往生講式』は一〇段を超える多数段式で、各式文の後に極楽聖歌・催馬楽の雅楽曲を演奏する雅楽法会である。金田一春彦は『四座講式の研究』で、中世以後の邦楽は雅楽や地方民謡のような特殊なものを除き、講式から何かを受け継いでいないものはなく、講式はまさに現代邦楽の父であると称している(『金田一春彦著作集』五・三一、玉川大学出版部、二〇〇五)。『法要集』(大正一三年版)には「往生講式」「地蔵講式」「羅漢講式」「舎利講式」「大般若講式」を掲載している。増上寺では、元日に三段式が行われ、涅槃会には椎尾弁匡撰の「涅槃講式」を厳修している。昭和四六年(一九七一)には源信の同名異本である「六道講式」を厳修した(『六道講式』照善寺田丸徳成、一九七一)。平成四年(一九九二)には知恩院の三門楼上にて「新訂羅漢講式」が行われた(『三門昭和平成修復慶讃法要差定』知恩院、一九九二)。
【資料】高瀬承厳『浄土講式 三種(臨終講式、臨終行儀、無常講式)』(私家版、一九三六)
【参考】『声明資料展・講式—解題目録』(上野学園日本音楽資料室、一九八四)
【執筆者:西城宗隆】