阿弥陀経義疏
提供: 新纂浄土宗大辞典
あみだきょうぎしょ/阿弥陀経義疏
一
『阿弥陀経』の注釈書の総称。『阿弥陀経』の注釈書は数多く、①中国・朝鮮、②日本に分けて挙げると以下のようなものがある。①伝智顗『阿弥陀経義記』、慧浄『阿弥陀経義述』、基の撰とされる『阿弥陀経疏』、同『阿弥陀経通賛疏』、元暁『阿弥陀経疏』など、②源信『阿弥陀経大意』、法然『阿弥陀経釈』、観徹『阿弥陀経合讃』、義山『阿弥陀経随聞講録』など、以上の他にも多数の注釈書が存在し、東アジアにおけるこの経典の広まりが理解される。
【参照項目】➡阿弥陀経已決、阿弥陀経勧持序、阿弥陀経義記、阿弥陀経義疏聞持記、阿弥陀経句解、阿弥陀経疏鈔事義、阿弥陀経直解正行、阿弥陀経十講、阿弥陀経釈、阿弥陀経疏、阿弥陀経諸解総目、阿弥陀経疏西資鈔、阿弥陀経疏鈔、阿弥陀経疏鈔演義、阿弥陀経疏鈔擷、阿弥陀経疏鈔問弁、阿弥陀経新疏、阿弥陀経大意、阿弥陀経摘要易解、阿弥陀経通賛疏、阿弥陀経の大意をのべ給いける御詞、阿弥陀経約論、阿弥陀経要解、阿弥陀経略解、阿弥陀経略解円中鈔、阿弥陀経略註、阿弥陀経略記、三経随聞講録、小経直談要註記、浄土三部経合讃
【執筆者:石田一裕】
二
一巻。宋・元照述。『阿弥陀経』の注釈書。元照は律宗の高僧であり、また宋代を代表する浄土教家。本書は、序分・義門・正釈門の構成で、義門では教・理・行・果の四科(章)を設けて経の綱要を述べ、正釈門では経題の解説の後に経文を序分・正宗分・流通分にわけて解釈する。経文の「執持名号」に注目し、浄土往生には、阿弥陀仏の名を持つ念仏を重視するなか、とくに称名念仏を最重視し、称名念仏は余行に比して善根が勝ることを力説する。その念仏多善根説の典拠として、当時、襄陽(湖北省)に現存した「石刻本阿弥陀経」の経文を引用する。本書では『十疑論』を重視するが、善導思想の影響が顕著な点が中国浄土教史上の特色である。末疏に戒度の『阿弥陀経義疏聞持記』がある。
【所収】浄全五、正蔵三七、続蔵二二
【参考】佐藤成順「元照『阿弥陀経義疏』について」(『宋代仏教の研究』山喜房仏書林、二〇〇一)、吉水岳彦「元照『観経新疏』と『阿弥陀経義疏』の関係について」(『三康文化研究所年報』三八、二〇〇七)
【執筆者:佐藤成順】