阿弥陀経略記
提供: 新纂浄土宗大辞典
あみだきょうりゃっき/阿弥陀経略記
一巻。『阿弥陀経疏』ともいう。源信撰。長和三年(一〇一四)成立。『阿弥陀経』の註釈書。本書の序には、前親衛藤将軍(藤原道綱と考えられる)の要請により、智顗の撰述とされる『阿弥陀経義記』の要旨をさらに詳述し『阿弥陀経』を略解したものとしている。本書は、大意・経題解釈・本文解釈の三段で構成され、そのうち大意は『阿弥陀経大意』として別行、流布している。また、阿弥陀三諦説の源泉とも考えられる無量寿三諦説が説示されている。すなわち、無量寿仏を釈して「無」に空、「量」に仮、「寿」に中、「仏」に三智一心を具すとしている点は、本書の特質として注目される。金沢文庫に、書写者は不明だが、弘安二年(一二七九)の古写本が下巻のみ所蔵されている。この他、東京大学に定智書写とする書写年不明のものもある。
【所収】正蔵五七、仏全三一、『恵心僧都全集』一
【参考】小山昌純「源信撰『阿弥陀経略記』に関する考察—東京大学総合図書館蔵写本を基に—」(『西山学会年報』一四、二〇〇四)
【参照項目】➡阿弥陀三諦
【執筆者:和田典善】