「三門」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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さんもん/三門
一
菩提(さとり)のための障害を離れる、智慧門・慈悲門・方便門の三種の門のこと。世親『往生論』に説かれる。菩薩が五念門を修行すれば、巧みな方便である回向を成就し、そして菩提に相違し障害となる心を離れていく。すなわち智慧門によって自分のみの楽を求めず、自身に執着することを離れ、慈悲門によって一切衆生の苦を抜いたり楽を与えたりしようとしない心を離れ、方便門によって一切衆生を憐れむ心を生じ、自身のみを供養し恭敬する心を離れるのである。
【執筆者:曽和義宏】
二
寺院の門の形式の一つ。本堂を涅槃に擬して、そこに入る三解脱門(空門・無相門・無願門)を略した名称の門。建物の形式は二階建てで、二重の屋根を持つ。上層は釈尊あるいは観音菩薩を本尊として五百羅漢などを安置した彩色豊かで荘厳な室内となっていて、儀式が行われる場となる。現存する三門の代表例として、元和七年(一六二一)に建立された知恩院三門(国宝)、同八年の増上寺三門(国重要文化財)がある。
【参照項目】➡門三
【執筆者:中村琢巳】