授与日課
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅよにっか/授与日課
日課念仏を誓う作法。帰敬式や剃度式などの法会で受者に毎日念仏を何遍称えるかを諭し誓約させること。得度式・授戒会では日課誓約、結婚式では日課勧奨という。導師や戒師が儀式の中で三帰三竟を授け、締めくくりとして称名念仏を毎日相続することを誓わせる。徳本は「仏の曰わく、若し念仏する者まさに知るべし。此の人は是れ人中の分陀利華なり。観世音菩薩、大勢至菩薩、其の勝友となして、まさに道場に坐すべし。諸仏の家に生ずればなり。自誦一返。仏阿難に告げてのたまわく、汝好くこの語を持せよ、この語を持せよとは、即ち是れ無量寿仏の名を持となり。自誦一返。念仏は弥陀の本願、諸仏の証誠、釈迦の附属なり。汝等臨終の夕べに至るまで日課称名誓って中止せず。能く持つや否や。答う、能く持つ。如来大悲知見したまえ。口授三返。十念」『徳本行者日課勧誡聞書』(二オ、文化一三年〔一八一六〕)と、『観経』の一節(聖典一・三一四)を挙げて受者に誓わせる。『吉水瀉瓶訣』一では『観経』の一節のあと「是れ此の口称名号は弥陀の本願、釈尊の附属、諸仏の証誠、往生極楽の正定業なり。汝等今日より始め畢命を期となし、その中間において、日課念仏一万遍、誓って中止せず、能く持つや否や」(『伝灯輯要』八四三)と問いかけている。念仏の数については、出家は三万、在家は一万が祖師の定め(『四十八巻伝』四六、聖典六・七二六~七)といい、多念を励まんと思い今は若干遍を授ける(『結縁五重伝書』知恩院蔵版、一九二四、一八頁)という。徳川家康は大樹寺登誉から日課を受け毎日六万遍を修したと言われている。
【執筆者:巖谷勝正】