分陀利華
提供: 新纂浄土宗大辞典
ふんだりけ/分陀利華
蓮華のことで、特に白蓮華を指す。Ⓢpuṇḍarīkaの音写語。蓮華、白蓮華などと意訳され、分陀利、芬陀利華などとも音写される。インドにおいて蓮華は珍重された花であり、仏典にも種々の蓮華の名が見出せる。その中でも、分陀利華といわれる白蓮華は、ことのほか重要な蓮華である。例えば、『法華経』のサンスクリット名はⓈsaddharmapuṇḍarīkaであり、『法華経』の経題となっている蓮華がⓈpuṇḍarīkaであることが理解できる。また、優れた人物などを分陀利華と称する比喩は、多くの仏典に見出され、これも分陀利華が重要視された証の一つといえよう。さらに、このような例は『観経』にも見出すことができる。すなわち「もし念仏せん者は、まさに知るべし。この人は、これ人中の分陀利華なり」(聖典一・三一四/浄全一・五一)とあり、念仏者が分陀利華にたとえられる。そして善導はこれを釈して、念仏者が「人中の好人、人中の妙好人、人中の上上人、人中の希有人、人中の最勝人なり」(聖典二・三二三/浄全二・七一上)としている。
【資料】『選択集』一一
【参照項目】➡蓮華
【執筆者:石田一裕】