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証誠

提供: 新纂浄土宗大辞典

しょうじょう/証誠

ものごとが誤りなく真実であることを証明すること。『阿弥陀経』後半部では、六方の諸仏が、阿弥陀仏功徳力による衆生念仏往生が真実であることを証明している。広く長い舌を出して三千世界を覆うという方法は仏による最大級の証明であり、こうした証明は余行にはなくただ念仏往生証明にのみ用いられている。基『阿弥陀経疏』によると「如来は小事を証せんために、但だ舌をべて面を覆い、或いは髪際に至る。もし大事を証せんとせば、すなわち舌を舒べて大千を覆う」(浄全五・五七〇正蔵三七・三二七上)とあり、弥陀願力による念仏往生が諸仏にとっても至極重要な証明であることを示している。道光は『選択集大綱抄』において第十四証誠念仏篇(浄全八・六五下)を立てて『法華経』四見宝塔品における多宝仏の証誠と『阿弥陀経』での六方諸仏証誠を比較し、一仏多仏の異・舌相有無の異・自他本願の異・来不来の異・土浄不浄の異・分身召不召の異の六つの相異点を挙げ、『阿弥陀経』における証誠が勝れていることを論証している。


【参考】坪井俊映『浄土三部経概説』(法蔵館、一九九六)、石井教道『選択集全講』(平楽寺書店、一九六七)


【執筆者:渋谷康悦】