護摩
提供: 新纂浄土宗大辞典
ごま/護摩
密教における行法の一つ。Ⓢhomaの音写。その起源は古代インドのいわゆるバラモン教の祭祀儀礼に遡る。Ⓢhomaとは供物を祭火にくべることをいい、炉を設け祭火にさまざまな供物をくべて火神に献じ、それにより種々に祈願した。家庭においても家住期における家長は日常から「焼灌によりて神々を尊敬すべし」(『マヌ法典』三・八二)とされた。密教においては、その修行体系である四度加行に組み入れられており、自身の修行の完成を祈願し、あわせて世が安穏になるよう仕向けていくものとして重要視されるという。また加行とは別に、一般にも祈願成就の修法として馴染み深い。炉をはじめ修法のための法具や供物を護摩壇に設え、行者は炉に護摩木を井形等に組み上げ火をつけて焚き、そこに油や穀物など供物をくべるなど、儀軌にしたがい修法し祈願する。祈願の内容は古来、四種法と呼ばれる息災・増益・敬愛・調伏があり、本尊として不動明王を祀る場合が多い。
【参考】田辺繁子訳『マヌ法典』(岩波書店、一九五三)、頼富本宏『密教—悟りとほとけへの道』(講談社、一九八八)
【執筆者:袖山榮輝】