真生同盟
提供: 新纂浄土宗大辞典
しんせいどうめい/真生同盟
山崎弁栄による光明主義をもとに、土屋観道が提唱した、現世から未来世へ貫いて永遠の生命と無限の向上を求め、人格の完成を目指すとする真生主義を基軸とした同志の集まり。本部は東京都港区観智院内。真生主義の信仰運動は、増上寺山内の学寮多聞室の土屋観道が、山崎弁栄の滅後、その運動を継承、神田駿河台に如来中心主義の看板を掲げた説教所を開設したことに始まる。土屋は若くして念仏に入信、早稲田大学理科を経て椎尾弁匡の門を叩き宗教大学で得度。さらに山崎弁栄から浄土教信仰の現代的革新を標榜する光明主義を学び、現実生活に徹底する真生主義を提唱、独自の活動を全国に弘通する行脚を始めた。専修念仏会、修養会、講演会を開催し、機関紙月刊『真生』を発刊。さらに組織化をはかり、真生同盟を結成し、順次に各地に支部が設けられた。真生主義運動は、法然の教えを正しく現代に受け継ぐことで、従来の浄土教が死後来世の往生を説くことに重点があったのに対し、本願の念仏によって眼が開けば、光明はあらゆるところに充ち満ちていたことに目覚め、一切衆生が仏の恵みに浴している悦びの人生に変わる、つまり現当二世にわたり如来の光明の裡に摂取されているとする。そこに口称念仏を基とする日常生活、さらに別時修養念仏会が勧奨され、個人の域に止まらず、仏の誓願を悦び、念仏を共に精進する盟を同じくする教団が成立する、これが真生同盟である。主に『真生光明礼拝義』(弁栄作)を経典とし、巻頭の「信条の綱領」を信仰生活の基本に据える。
【執筆者:土屋光道】