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供華

提供: 新纂浄土宗大辞典

くげ/供華

仏前などに花を献じることの総称。仏への礼拝行としての盛華じょうけ散華供養、仏前・堂宇内の荘厳としての献華(荘厳花)、法会での儀礼的献華、死者供養としての献花をはじめとして、折々に時花(紙華)を仏前などに献じるすべての花供養をいう。インドなどでは、花の部分だけを摘みとって器に盛り、また花輪(華鬘けまん)を作り仏前に供えた。生花を供えると同時に、その芳香を併せて献じる供香華の意味があるという。やがて蓮華宝瓶ほうびょうに挿すようになり、しきみなど種々の草木を花瓶に挿して供華に用いるようになった。『釈浄土二蔵義』一五には、「一華供え散じ、一声南無すれば、即ちこれ仏因、即ちこれ仏行」(浄全一二・一七八下)とある。また本尊への献華がそのまま荘厳となり、五具足などの立花たてばな荘厳ばなとなり、さらに芸術的にも優れた立華りっか大会だいえなどに用いられている。法会では献華式、結婚式行華あんげ散華することも供華の一つである。桜会さくらえ四箇法要では舞人の献華から舞楽をし、供華舞楽法要での重要な儀礼となっている。死者供養では、墓地や災害・事故の現場、宗教者が係わらない葬儀やお別れの会にも献花が行われている。近年墓前に供える樒が色花に、また枕花・葬儀の供花きょうかも色花が含まれるように変化している。京都法然院二十五菩薩散華は著名である。


【参考】重森三玲『寺院の荘厳と供華』(東方書院、一九三四)


【参照項目】➡献花四箇法要


【執筆者:西城宗隆】