献花
提供: 新纂浄土宗大辞典
けんか/献花
仏・菩薩または死者に生花を供えること。供華ともいう。六種供養の一つ。通常は生花を花瓶に挿し、大法要のときは立華を供えることもある。常華(紙・木・金属などの造花)も献花供養である。『仏本行集経』『過去現在因果経』にある青蓮華を燃灯仏に供養した前生譚など、供華の功徳を説く経典は多い。『無量寿経』下は「華を散らし香を焼き」(聖典一・二五〇)といい、法会では紙製の華(華葩)を散じて供養している。結婚式では新郎新婦による献花を行華といい、音楽法要では華籠に生花を盛る盛華供養、知恩院御忌の開白では献華式、増上寺御忌では献華行道が行われ、墓地や災害・事故の現場などでは献花が広く行われている。また、宗教によらない葬儀(無宗教葬)や「お別れ会」では献花による告別が行われている。ホテルで行われる場合は、法事などでも焼香に代わって白菊またはカーネーションを一輪ずつ献花台に供えている。『蘇悉地羯羅経』は、仏には白華、観音には水中に咲いている白華を献じて、臭いの強い華・棘のあるものは供養華に適していないことを説いている(正蔵一八・六三九下)。仏花は青蓮華に似ていることから樒を献じていたが、現在は葬儀・枕花にも色花が用いられている。
【執筆者:西城宗隆】