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仏像

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぶつぞう/仏像

仏教において信仰対象とされる彫像の総称。これに対して絵に描かれたものは仏画と呼ばれる。如来菩薩明王天部などに分類でき、仏教の伝播した各地で独自の尊格が加わることで内容を豊かにしていった。仏像の起源については未だ不明な部分も多いが、西北インドを支配したイラン系のクシャーン朝の時代、紀元一、二世紀頃にガンダーラおよびマトゥラーにおいて始まったと考えられる。仏典によると仏陀剃髪した姿であったと考えられるが、信仰対象としてふさわしい姿が模索された結果、一般の僧尼の姿と区別する意味から、三十二相などの様々な特徴が考案された。仏陀を人の姿であらわすという非常に大きな変革が起こるにあたり、インドの宗教的伝統に制約されなかったクシャーン人の信仰が強く影響している可能性が指摘されている。仏像の形式は立像りゅうぞう・坐像・倚像いぞう半跏像はんかぞう涅槃像など多くの種類が見られる。半跏像は結跏趺坐けっかふざした片方の脚をくずした姿のものを意味し、さらに片足を踏み下げた姿で、頰に指をあてて何かを考える様子をとったものを半跏思惟像しゆいぞうという。日本では弥勒菩薩像や如意輪観音像として知られているが、インドや中国では修行中のシッダルタ太子像であることも多い。涅槃像は日本では大幅の絵像が一般的だが、中国や東南アジア等では巨大な彫像も遺されている。材質は金銅・鉄・せん・木・乾漆かんしつ塑土そど等多岐にわたる。いくつか例を挙げると塑造そぞうは良質の石材に恵まれない中央アジアにおいて考案され、中国や日本にも伝えられた。木や干草の束を芯として粘土で塑形し、自然乾燥させたものである。湿度や衝撃に脆弱であるが、造形が容易な上に乾燥地帯では充分な強度を保つ。木彫像は日本では奈良時代後半にインドの香木信仰に由来する白檀びゃくだん仏像、いわゆる檀像の影響を受けて造られるようになり、平安時代以降主要な造像材となった。初めは一本の木から全体を彫り出す一木造が主流であったが、後にいくつもの材を組み合わせて形を造る寄木造が考案され、現在ではもっとも一般的な技法となっている。


【参照項目】➡倚像一木造涅槃像半跏思惟像寄木造結跏趺坐


【執筆者:近藤謙】