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明王

提供: 新纂浄土宗大辞典

みょうおう/明王

智慧を意味し、また明呪すなわち真言を指すⓈvidyā(明)と王の意のⓈrājaから構成される語で、諸真言中の王、あらゆる真言の王をいう。また明を持する者の王たる種々の尊格を指す。Ⓢvidyārājaの漢訳語。明王大日如来の顕現として多くは忿怒ふんぬの形相を示すが、これは教えに従わない頑なな衆生を導くためのもので、真言に諸難を砕く威力のあることなどを体現する。五大明王、八大明王といったグループ分けが知られている。なお明王に対しrājaがrājāと女性名詞に転じた言い方に明妃があり、真言のなかでも、よく物を懐柔する功徳のあることを体現するとされ、尊格として女像の仏眼明妃などが知られている。持明者に両性が揃うことで、折伏摂受と、いわば硬軟の功徳が全うされる。


【資料】『蕤呬耶経』上、『菩提場所説一字頂輪王経』


【参考】宮坂宥勝『空海密教の宇宙』(大法輪閣、二〇〇八)


【参照項目】➡不動明王烏枢沙摩明王


【執筆者:袖山榮輝】