供華
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:22時点における192.168.11.48 (トーク)による版
2018年3月30日 (金) 06:22時点における192.168.11.48 (トーク)による版
くげ/供華
仏前などに花を献じることの総称。仏への礼拝行としての盛華・散華供養、仏前・堂宇内の荘厳としての献華(荘厳花)、法会での儀礼的献華、死者供養としての献花をはじめとして、折々に時花(紙華)を仏前などに献じるすべての花供養をいう。インドなどでは、花の部分だけを摘みとって器に盛り、また花輪(華鬘)を作り仏前に供えた。生花を供えると同時に、その芳香を併せて献じる供香華の意味があるという。やがて蓮華を宝瓶に挿すようになり、樒など種々の草木を花瓶に挿して供華に用いるようになった。『釈浄土二蔵義』一五には、「一華供え散じ、一声南無すれば、即ちこれ仏因、即ちこれ仏行」(浄全一二・一七八下)とある。また本尊への献華がそのまま荘厳となり、五具足などの立花が荘厳花となり、さらに芸術的にも優れた立華は大会などに用いられている。法会では献華式、結婚式の行華、散華することも供華の一つである。桜会・四箇法要では舞人の献華から舞楽をし、供華が舞楽法要での重要な儀礼となっている。死者供養では、墓地や災害・事故の現場、宗教者が係わらない葬儀やお別れの会にも献花が行われている。近年墓前に供える樒が色花に、また枕花・葬儀の供花も色花が含まれるように変化している。京都法然院の二十五菩薩の散華は著名である。
【参考】重森三玲『寺院の荘厳と供華』(東方書院、一九三四)
【執筆者:西城宗隆】