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道誉流伝法

提供: 新纂浄土宗大辞典

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どうよりゅうでんぼう/道誉流伝法

道誉貞把ていはの案出した箇条伝法浄土宗独自の僧侶養成に偉大な貢献を果たした聖冏の『五重指南目録』には、五五箇条の口伝を指南し、さらに加行期間を一一四日間とし、その内、初めの七日間は、前加行として礼讃誦経念仏し、続く七日間で三巻七書を講じ、二七日成満の日に五〇箇条の伝法を行い、さらに百日の加行をし、「三経一論五部九巻論註安楽集往生要集選択集」等の講義を行い、百日成満の日に五箇条の口伝を行い璽書許可されることが記され、浄土宗独自の伝法制度がここに確立されることになる。その後、応仁の乱の時期に音誉聖観加行期間を改変。百日の正行を前加行とし、平生の修学に譲って省略。正行を一四日間として、読誦礼拝等の行と共に、三巻七書の講説と五〇箇条の口伝を行い、二七日成満の日に五箇条の口伝が行われるようになった。さらに、室町末期になると戦乱の影響などにより、長い年月に渡る檀林での修学伝法が困難となり、伝法制度も改変を余儀なくされた。ここでなされた改革が貞把伝法であり、その後進である感誉存貞伝法と共に、後世に影響を与えることとなる。両者の伝法では、一箇寺の住職となるために短期間で養成される浅学衆のための略式の伝法を主眼としており、従来二七日の加行中に五重のすべてを相伝していたものを二つに分け、五重(短期間で養成される浅学衆のための相伝、浅学相承五重自証門伝)と宗脈(五重を受けて後、一定の修学期間を経た碩学衆が授かる相伝碩学相承宗脈化他門伝)との二度に渡る式に改める改革を行った。貞把の場合、五重では、従来の五五箇条の伝目から、五箇条または八箇条と定め、塗香触香伝、焼香伝、座具伝、五通切紙伝、三国伝来口授心伝、三国三代三国二代伝、助正歟伝、授手印伝とし、宗脈九箇条または一一箇条は、都部伝、宗脈化他門伝、形状形名伝、凡入報土伝、傍人伝、気息伝、三種病人伝、引導伝、助正歟伝、後夜念仏伝、授手印伝である。


【参考】恵谷隆戒「近世浄土宗伝法史について」(『浄土教の新研究』山喜房仏書林、一九七六)


【参照項目】➡貞把感誉流伝法箇条伝法


【執筆者:東海林良昌】