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即身仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

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そくしんぶつ/即身仏

修行者の身体を死後にミイラ化させ、信仰の対象として祀ったもの。一種の仏像とも言える。万人における諸願成就や困苦からの救済のほか、空海が説く即身成仏の完成を願った修行者が自ら即身仏となることを志したという。江戸期の湯殿山などにその事例が見られ、鉄門海など十数体の即身仏が現存する。妻帯せず、木食等、厳しい修行に徹した彼らは、無欲で社会に尽くし、また霊験もあるなど生前よりすでに多くの民衆の信仰を集めていたと考えられ、即身仏には病気平癒などさまざまな利益があるとされる。なお、無能に感化され念仏門に帰入した行者が、浄土往生の後、穢土に戻って衆苦を救うために即身仏を志した事例もあるという。大原古知谷こちだに阿弥陀寺弾誓たんぜいのミイラ像は有名である。


【参考】松本昭『増補日本のミイラ仏』(臨川書店、二〇〇二)


【参照項目】➡即身成仏無能弾誓


【執筆者:袖山榮輝】