こちだに/古知谷
京都市左京区大原古知平町の地。京の都の北東、八瀬大原のさらに奥、近江との境に位置する。かつて木食僧弾誓が、京の五条の橋上より、北方に紫雲たなびき、ほのかに仏影あらわれる様を見て霊地と感じ、後にこの地で専修念仏を行い、阿弥陀寺を建立した。『弾誓上人絵詞伝』に「松の小陰を庵にして所持の鉦鼓を枝にかけ、苔むす岩の上に坐し西の山合に打向ひ、朝暮念仏し給へり」(浄全一七・六九五)とある如く、山深い静境であり、その面影は今なお保たれている。なお、現在では古知谷と言えば阿弥陀寺をさすことが多い。
【資料】『弾誓上人絵詞伝』(浄全一七)
【参照項目】➡弾誓、阿弥陀寺七
【執筆者:兼岩和広】