霊験
提供: 新纂浄土宗大辞典
れいげん/霊験
神・仏・菩薩などへの信仰・祈願・経典読誦などの結果現れる霊妙不可思議な効験のこと。「れいけん」とも読む。霊感・霊応ともいい、単に験ともいう。霊験を得ようと加持祈禱を修す人を験者、霊験あらたかな社寺を霊験所、霊験を記した書物を霊験記・感応伝という。中国では仏教の流伝として『金剛般若経集験記』『法華伝記』『三宝感通伝』などが制作され、日本では『日本霊異記』など多くの仏教説話集が制作された。仏教説話集は霊験談の集録であり、経典や仏・菩薩の霊験記をはじめ、中世以降は社寺中心の霊験記が盛んになった。『不動霊験記』『観音霊験記』『薬師霊験記』『地蔵霊験記』など本尊の利益が説かれ、例えば『大山不動霊験記』のようにそれぞれの地名や寺名を冠した霊験記が発行された。いずれも本尊の利益にあずかった人々の談話を載せるとともに修行の方法、祈禱の内容、救われた人々の階層・性別・年齢などが書き綴られている。
【参考】日本仏教研究会編『日本宗教の現世利益』(大蔵出版、一九七〇)、宮家準「日本人の宗教生活と現世利益」(『日本仏教』三四、一九七二)、藤井正雄「現世利益」(田丸徳善他編『儀礼の構造』日本人の宗教二、佼成出版社、一九七二)
【執筆者:藤井正雄】