「浄土伝灯総系譜」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:25時点における最新版
じょうどでんとうそうけいふ/浄土伝灯総系譜
三巻。『総系譜』とも呼ぶ。鸞宿撰。享保一二年(一七二七)成立。自序に「吾が浄宗一たび興るに、余風益々熾んなり。…良に以れば、祖承を崇め嗣法を護る者は、豈に其事を忽せにすべけんや」(浄全一九・一)とし、祖承・嗣法の略譜をまとめることを目的として編纂された。内容は、第一天竺弘伝・第二震旦弘伝・第三日本弘伝の三に分け、その第三をまた一浄土開宗門資・二諸流分派・三諸師承襲に三分する。この中、浄土開宗門資には聖光・証空・源智等の二四名を挙げ、諸流分派には聖光鎮西流・善恵西山流・隆寛長楽寺流・覚明九品寺流の四流を挙げる。諸師承襲では、一面受親聞・二背師自立・三従他帰入の三に分け、面受親聞に信空・湛空・源智・聖覚等を挙げ、背師自立に幸西・行空・親鸞を挙げ、従他帰入に顕真・慈円・良快・実範・静厳・証真・澄憲・明遍・解脱(貞慶)・住心・公胤・静遍・明禅・良遍・真空・悟阿・円照・凝然を挙げる。本系譜は、既成の系譜に基づきながらも、門資・分派ともに聖光・鎮西流をその初めに置くことから、鎮西流の正統を示す意図がうかがえる。
【所収】浄全一九
【参考】井川定慶「伝灯系譜・寺誌解説」(浄全一九)、野村恒道「日本浄土教諸系譜について」(『仏教論叢』二六、一九八二)、野村恒道・福田行慈・中野正明「日本浄土教諸系譜の研究—法然門下系譜の脈流考—」(『仏教文化研究』三〇、一九八五)
【執筆者:米澤実江子】