「安楽の十勝」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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あんらくのじっしょう/安楽の十勝
阿弥陀仏の極楽世界と弥勒の兜率天の勝劣を一〇項目に渡って整理し、阿弥陀仏の極楽世界の優位性を説いたもの。基の撰述と伝わる『阿弥陀経通賛疏』(正蔵三七・三四三上)に説かれる。同文が『楽邦文類』(正蔵四七・二〇〇上)に引用されている。十勝とは①化主所居勝②所化命長勝③国非界繫勝④浄方無欲勝⑤女子不居勝⑥修行不退勝⑦浄方非穢勝⑧国土荘厳勝⑨念仏摂情勝⑩十念往生勝であり、道綽の『安楽集』(浄全一・六八四上~下/正蔵四七・九中~下)や迦才の『浄土論』(浄全六・六六三上/正蔵四七・一〇〇上~下)に説かれている西方兜率優劣論などを整理した内容となっている。なお基自身は唯識論者であるとともに兜率信仰者でもあり、『観弥勒上生兜率天経賛』において弥勒の兜率天の優位性を主張している。
【執筆者:柴田泰山】