「顕色」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版
けんじき/顕色
色(Ⓢrūpa)の一種。色には顕色、形色、表色があり、顕色は青、黄などのいろを意味する。Ⓢvarṇa。また法式では荘厳衣を意味する。壊色に対する用語。五大色(純色)の青黄白赤黒の色のことをいう。インドでは壊色(青〔銅青〕黒〔雑泥〕木欄〔皮染〕)が如法衣であり、顕色や錦繡などの袈裟は用いられない。ただし、『賢愚経』(正蔵四・四三四上)に説かれる金色の氈衣のように例外もあった。中国や日本では国家との関わりから紫袈裟、金襴袈裟などが勅賜や勅許により認められていく。江戸時代になると各宗で規定するようになる。浄土宗では例えば安永七年(一七七八)の「覚」(『増上寺日鑑』一・一七五)に、金襴・金入袈裟は諸本山と檀林と御由緒寺院に限り、その他のものは色袈裟や壊色の袈裟とする。後に浄土宗では色袈裟が使用されなくなるが、この色袈裟も顕色に含まれるとされる。また『蓮門小子訓』には「錦繡等の華服は唐朝より始まり勅賜勅許の服にて如法に非ざれども華服を以て法儀を飾りて人の信を護るが故に字して荘厳衣と云う」とある。明治九年(一八七六)の『鎮西派規則』の制定によって、加行を受けた者全てが金入袈裟等を限定的ではあるが被着出来るようになった。
【参考】宍戸寿栄『続浄土宗法儀解説』上(真教寺、一九七二)、井筒雅風『袈裟史』(雄山閣出版、一九六五)
【執筆者:大澤亮我】