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増上寺日鑑

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぞうじょうじにっかん/増上寺日鑑

宇高良哲編。六巻。平成一三年(二〇〇一)—同二〇年、文化書院刊(五巻のみ大正大学出版会より刊行)。大本山増上寺の日誌。増上寺は江戸時代に関東浄土宗大本山として教団運営の最高責任機関である総録所をつとめていた。また僧侶養成所である関東十八檀林の筆頭寺院であり、かつ将軍徳川家の菩提寺として歴代将軍の御霊屋おたまや領の管理にもあたっていた。多様な役割をになった増上寺には大量の日鑑が現存している。詳細は「増上寺文化財目録」の古記録の部に分明である。この中から『役所日鑑』(安永三年〔一七七四〕—寛政二年〔一七九〇〕)二巻、『月番日鑑』(元禄一二年〔一六九九〕—延享四年〔一七四七〕)二巻、『帳場日鑑』(元禄六年〔一六九三〕—寛政二年〔一七九〇〕)二巻が刊行されている。『役所日鑑』は増上寺総録所として宗内行政を担当した記録、『月番日鑑』は山内の塔頭たっちゅうが月番として増上寺内の動向を記録したもの、『帳場日鑑』は方丈周辺の動向を記録したものである。増上寺日鑑の全体から見れば、ほんの一部であるが、増上寺史研究上貴重な史料である。


【執筆者:宇高良哲】