「戒和尚」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:21時点における最新版
かいわじょう/戒和尚
戒を授ける和尚をいう。戒和上とも書く。1具足戒を授けるときの三師七証(戒和尚・羯磨師・教授師の三人と証明師の七人)の三師の一人。戒を授ける(戒を持つことを誓わせる)入門通過儀礼の主たる師匠。上座部仏教では現前の戒師をはじめ三師七証の授戒形式で戒を授ける。2円頓戒では戒法を授ける釈尊をいう。大乗菩薩戒では授戒の師と伝戒師とを区別し、釈尊より戒法を受ける形式をとる。戒法授受の形式には、従他受法と自誓受法の二形式がある。従他受法は三師七証というように戒師によって受戒し、自誓受法は本尊前で自ら誓って受戒する。円頓戒を授ける正授戒のときには、釈尊を戒和尚とし、凡夫僧を伝戒師と区分して、釈尊より直接に受戒することを凝らしているので五師を奉請する。これは『観普賢菩薩行法経』が釈尊を和尚とする説に基づくものである(正蔵九・三九三下)。正授戒では不現前の五師(釈尊を戒和尚、文殊菩薩を羯磨阿闍梨、弥勒菩薩を教授阿闍梨、十方の諸仏を証明師、十方の諸菩薩を同学等侶)を奉請して自誓受戒する。ただし実際には、伝戒師、教授・羯磨阿闍梨等の人師を請して従他受戒する。
【参考】大野法道『戒学点描』(浄土宗務所、一九五九)、恵谷隆戒『円頓戒概説』(大東出版社、一九七八)、宮林昭彦『人間として 戒ある生活』(浄土宗、一九九六)
【執筆者:西城宗隆】