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三師七証

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんししちしょう/三師七証

比丘具足戒を授ける際に必要とされる一〇人の師僧のことで、三師と七証師を併せ呼ぶ呼称。『薩婆多毘尼毘婆沙』二に「受戒の時、三師七僧をもちう」(正蔵二三・五一四下)という。三師とは戒和尚羯磨かつま阿闍梨教授阿闍梨の三者。戒和尚は実際に戒を授ける法臘ほうろう一〇年以上の比丘授戒の際の十師の最上位に位置する。新入の比丘を責任をもって指導する師匠であり、出家希望者は前もって和尚を決めておかなくてはならない。羯磨阿闍梨授戒の儀式の際に白四羯磨びゃくしかつま作法をなす比丘のこと。教授阿闍梨法臘五年以上の比丘であり、受者に授戒の際の威儀作法を教え、受者が具足戒を与えられてはならない要件(遮難)を具えていないかどうかを確認する。七証は、授戒に立ち会って証明する七人の比丘をいう。『十誦律』二一に「十僧現前白四羯磨具足」(正蔵二三・一四八中)といい、『摩訶僧祇律』二三に「十衆和合一白三羯磨無遮法」(正蔵二二・四一三上)というように、授戒にはこの一〇人の比丘が必要であるが、辺地では五人の比丘具足戒を授けてもよい、とされる(『摩訶僧祇律』二三、正蔵二二・四一六上)。このように具足戒を授けるに際しては現前の十師が必要とされるが、大乗では必ずしもそうではなく、瑜伽ゆが戒では、現前の同法の菩薩から授かる場合でも十方現在の諸仏菩薩の前で授かるとし、しかもふさわしい菩薩がいない場合には、現前菩薩すら必要とされない(『瑜伽論』四〇、正蔵三〇・五一四中~下、同四一・五二一中)。円頓戒でも同様であり、三師を立てるものの、湛然の『授菩薩戒儀』によれば釈尊戒和尚文殊菩薩羯磨阿闍梨弥勒菩薩教授阿闍梨とする(聖典五・五〇九/浄全一五・八七三上)。


【参照項目】➡戒和尚教授阿闍梨羯磨阿闍梨証明師


【執筆者:齊藤舜健】