天道
提供: 新纂浄土宗大辞典
てんどう/天道
一
天人が住む境界。天趣、天界。衆生が輪廻する六道の一つで、もっとも楽が多くすぐれた境界。三界の中で階層的に説かれ、大別すれば、欲界に六欲天(四大王衆天・三十三天・夜摩天・兜率天・楽変化天・他化自在天)、色界に初禅天から第四禅天までの四禅天、無色界に四無色天(空無辺処天・識無辺処天・無所有処天・非想非非想処天)がある。『無量寿経』では極楽の荘厳が「第六天」(他化自在天)に喩えられる(聖典一・二四四)。
【執筆者:齋藤蒙光】
二
悪業を積んだ人が必ずその報いを受ける道理のこと。『無量寿経』の五悪段に説かれる語。経典翻訳者が『老子』の「天之道」を借りたとする説や、単に世間の日月星辰陰陽の変化を天道であるとする説がある。いずれも自然の道理のことをいう。また『瑜伽論』の「業天」(正蔵三〇・三一八下)と同じ意味で、業の道理を表現したとする説がある。
【資料】『無量寿経鈔』(浄全一四・二二〇下)、『無量寿経随聞講録』(同四八七上~下)、観徹『無量寿経合讃』下末
【執筆者:眞柄和人】