堂童子
提供: 新纂浄土宗大辞典
どうどうじ／堂童子
一
寺院で雑役や諸堂の管理を行う俗形の少年、また童形の男性のこと。
【執筆者：編集部】
二
信濃善光寺に伝わる、毎年一二月第二の申の日に行う「如来御越年式」（長野県民俗資料）を中心に正月にかけ行う諸行事を司る役名。善光寺浄土宗塔頭寺院住職が順番に当たり、又後住、後住、当住と三年かけて成満する。主な行事は次のとおり。一二月一日「お注連張り」。当住の寺門に注連を張り一山集合して祝う。一〇日「お松伐し」。大勧進、大本願玄関松の木に、山から切り出した枝松を結び祝儀。両寺で三種三献の儀が行われる。「御竈祈禱」。越年式の三日ほど前に執行。大勧進住職の名代となった天台宗奉行の院代が当住の寺に来て、如来に供える食物を焚く竈の清浄を祈る。終了後、院代と一山で祝儀。「おからこ搗き」。第二の申の日午前中一山当住の寺に集合、越年式に如来前にお供えする「おからこ」と呼ぶ餅を搗き、「ねねつぶ（ぼ）」と称する米粉の餅などを作り越年式の準備をする。当夜零時御供所に浄土宗塔頭寺院住職一同集合、浄衣（麻白色の衣）に着替えて越年式の祈願、善光寺本堂本尊前におからこ等を五膳お供えし、大勧進住職出仕して祈願、続いて「四門固め」。境内東南西北で天下泰平五穀豊穣を祈る。四時半頃終了。二一日「お備え搗き」。善光寺本尊前にお供えする五段重ねの餅を搗く。二八日「お煤払い」。善光寺本堂の大掃除、終了後に天台宗奉行と祝儀。三一日朝事後まず本尊前に五段重ねの餅をお供えし、本堂正面向拝左右の柱に結ばれた松飾りを検分し、大勧進大本願祝儀、三種三献の儀。当住は三一日の夜善光寺本堂に入り、これより一五日まで参籠して諸行事を執行。一月元旦午前一時朝拝式、一一時修正会（浄土宗）、三時同天台宗。修正会は三日まで。六日午後七時「賓頭廬回し」。本堂内に安置する「賓頭廬尊者像」を妻戸壇の周囲五回引回し健康を祈る祭り。七日午前三時七草会。これより一五日まで「御印文頂戴」が行われる。如来が秘仏となったときその身代わりとして出現した三判を参詣者の額に戴かせる行事。「お日待ち」。当住の大役成満を祝い、全山縁者集い大盤振舞いを楽しむ。二月一日「お駒送り」。善光寺裏大峰山中腹にある駒形嶽駒弓神社にある堂童子斎場で行事中使用した注連等をお焚上げする。当住後住で行う。六月五日「菖蒲渡し」。堂童子中使用する引継ぎの諸道具一切を後住の寺に運び引継ぎを行う。
【参考】『信濃善光寺正月行事 長野県民俗資料調査報告７』（長野県教育委員会、一九六五）、『信濃・善光寺秘儀 堂童子』（善光寺白蓮坊、一九八二）
【参照項目】➡善光寺五
【執筆者：若麻績侑孝】