幽玄な教えへの関門の意。奥深い仏教の教えへの入り口を意味する語として使用され、『碧巌録』第八八則に「入理の深談は、也また須是すべからく七穿八穴すべし。当機敲点して金鎖玄関を撃砕くだく」(正蔵四八・二一二下/岩波文庫『碧巌録』下・一四九)とある。悟りへの道のりの一関門として公案を指す場合もある。また中国の禅院の入り口に「玄関」と掲示したことに端を発して寺院や武家屋敷等の建築の入り口部分にも掲示されるようになったとされる。現在は一般に家屋の入り口を玄関と呼ぶ。
【執筆者:郡嶋昭示】