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回国

提供: 新纂浄土宗大辞典

かいこく/回国

諸国を回って歩くこと。また、諸国の札所を回って礼拝して歩く回国巡礼のことをいう。廻国とも書く。回国僧・回国聖の例には阿弥陀聖高野聖、六十六部などがある。いずれも諸国を遍歴し布教勧進・行乞などをする。高野聖は平安後期に小田原別所の教懐が組織したといわれ、遊行唱導により空海入定信仰を広めるとともに納骨勧進活動を行った。近世にはおいに呉服を仕込み行商する者もいた。六十六部は全国六六ヶ所の霊場(一国につき一所)に『法華経』を納経して歩く修行者で、鎌倉時代初期にはみえ、回国といえば六十六部だけをとりあげることもある。笈に経巻を入れて背負い、托鉢たくはつによって路用を調達し、善根宿ぜんこんやどと呼ばれる布施によって宿所の提供をうけた。天野信景『塩尻』五九には「世に扶桑六十六州を巡り、州毎に神社・仏閣に納経する修行者あり。これを六十六部と謂う、又回国行者と曰う」とある。


【執筆者:今堀太逸】