十仏名
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうぶつみょう/十仏名
食作法のときに唱える名号。「清浄法身毘盧遮那仏 円満報身盧舎那仏 千百億化身釈迦牟尼仏 当来下生弥勒尊仏 極楽世界無量寿仏 十方三世一切諸仏 大聖文殊師利菩薩 大行普賢菩薩 大悲観世音菩薩 大智勢至菩薩 一切菩薩摩訶薩」。『諸回向宝鑑』二の「時食儀」には、十仏名の本拠は道安の伝に出るとある(一五オ)。『高僧伝』五によると、道安が「飲食唱時法」という僧の食作法の基本を編成したというが、明記されていない(正蔵五〇・三五三中)。この食膳に関わったあらゆる人のために、災障が消えて福徳と智慧が増大することを念じるために十仏の名を唱える。句頭が「十方(今日)施主災障消除 福慧増長」という呪願を発声し、次いで同音を唱える。食作法にあたり、呪願の一部として施主のために五仏四菩薩と諸仏・諸菩薩の名号を唱える。法報応の三身(毘盧遮那仏・盧舎那仏・釈迦牟尼仏)、弥陀三尊、釈迦三尊、弥勒(菩薩)と諸仏・諸菩薩とを合して十仏名として唱礼する。『浄土苾蒭宝庫』下の「食作法」の「十方仏名」には、「極楽世界阿弥陀仏」とある(五オ)。また、『諸回向宝鑑』二の「略時食儀」には南無阿弥陀仏を十念するとある(一七オ)。十仏名の名称と唱え方は各宗によって多少異なるところもあるが、広く唱えられている。
【参考】浅井覚超『真言宗 食時作法解説』(高野山出版社、一九九二)
【参照項目】➡食作法
【執筆者:西城宗隆】