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法然上人伝全集

提供: 新纂浄土宗大辞典

ほうねんしょうにんでんぜんしゅう/法然上人伝全集

井川定慶編。昭和二七年(一九五二)九月、法然上人伝全集刊行会刊。編者の法然伝研究書のうち、史料編ともいうべき「前篇(本伝)」と称される部分。これに対し研究編ともいうべき「中篇(解明)」および「後篇(附録)」が『法然上人絵伝の研究』と題され上梓されている。本書は法然諸伝記を網羅的に収集しているほか、関連史料の抄出を集成している。法然の諸伝記全体を分類し、第一集に勅伝系統を、第二集に伝法絵系統を収め第三集には「雑と抄」として、第一集・第二集に入らない諸伝記を収載。第一集には『法然上人行状絵図』(『四十八巻伝』)、『黒谷上人絵詞抜書』(『近衛本』)、『法然上人絵詞』一、『法然上人伝記』(『九巻伝』)を、第二集には『本朝祖師伝記絵詞』(『筑後本』)、『法然上人伝法絵流通』(『国華本』)、『法然上人伝法絵』下(『高田本』)、『法然聖人絵』(『弘願本』)、『法然上人伝絵詞』(『琳阿本』)、『法然上人伝』(『増上寺本』)、『拾遺古徳伝絵』、『法然上人伝』(『十巻伝』)、『知恩伝』を、第三集には『源空聖人私日記』、『法然上人伝記』(『醍醐本』)、『黒谷源空上人伝』(『十六門記』)、『法然上人秘伝』、『正源明義鈔』、『法然上人秘伝遠流記』、『法然上人恵月影』を収め、さらに『玉葉』『明月記』『三長記』『皇代略記』『皇代暦』『仁和寺御日次記』『立川寺年代記』『皇帝紀抄』『百練抄』『七箇条制誡(連署)』『愚管抄』『念仏無間地獄鈔』『教行信証』『摧邪輪』『古今著聞集』『沙石集』『平家物語』『私聚百因縁集』『元亨釈書』『源流章』『獅子伏象論』『浄土十勝箋節論』等の史料から法然伝関連の抄録を集載している。底本に流布本を採用したり、片仮名原文を平仮名で翻刻したり、脱文や分類基準など注意を要する点もあるが、各法然伝や史料を縦覧するには重宝。昭和四二年(一九六七)の増補再版では貴重な二〇点の口絵写真が割愛されたが、第三集に『明義進行集』『知恩講私記』『円光大師略伝』の三伝が加えられた。また同五三年六月には三版が刊行された。


【参照項目】➡法然上人絵伝の研究


【執筆者:野村恒道】