十八円浄
提供: 新纂浄土宗大辞典
じゅうはちえんじょう/十八円浄
諸仏如来の浄土に共通する一八種の内容規定。十八円満、十八具足ともいう。円浄はⓈsampadの訳語で、完全、完成、極致、理想を意味する。世親の『摂大乗論釈』で仏の受用身を説明する際に説かれる(正蔵三一・二六三上)。第一色相円浄・第二形貌円浄・第三量円浄・第四処円浄において浄土の相、第五因円浄・第六果円浄において浄土建立の因果、第七主円浄・第八助円浄・第九眷属円浄において浄土の主従、第一〇持円浄・第一一業円浄・第一二利益円浄において浄土の菩薩、第一三無怖畏円浄・第一四住処円浄において浄土が怖畏なく最勝であること、第一五路円浄・第一六乗円浄・第一七門円浄において浄土に入る実践行、第一八依止円浄において浄土が法界真如の上に顕現されていることを示す。世親はこれを下敷きに『往生論』で、阿弥陀仏の極楽浄土の三種二十九句荘厳功徳成就を説いたとされる。また善導は『観経疏』定善義の水観の説明で第一八の依止円浄に言及している。
【参考】藤堂恭俊「天親と曇鸞の浄土教思想」(『講座大乗仏教五 浄土思想』春秋社、一九八五)
【参照項目】➡三種二十九句荘厳功徳
【執筆者:齋藤蒙光】